第四十三話 冬の神様をお迎えする
十一月八日は、立冬。冬の神様のお迎えの日です。 いよいよ冬の到来、寒さに向かいますね。しかし体感や目に見える季節は、秋本番。秋が深まってこれから紅葉の美しい季節ですね。 私も、紅葉の季節は大好きです。 この季節に何度か京都を旅していますが、あるときに高尾で紅葉の天ぷらを食べたことがあります。 衣に味がついていてそれ自体特別に美味しい物ではなかったけれど、「食べてしまいたいほど美しい」のですね。 その時の黄色く色づいたイチョウや紅葉の美しさが忘れられずに、お土産にイチョウと紅葉の型抜き(料理につかうものです)を求めてかえりました。 秋のキノコのお寿司の上に、型でぬいた紅葉やイチョウを散らして、黄色いぎんなんを飾る。 特別に松茸が無くても、日本人に生まれて良かったと感じるひとときです。
立冬の神迎えの話をしながら、紅葉の話になってしまいました。 立冬当日には、何かひと品でも冬の食材などを取り入れての献立があると素敵ですね。 冬というと何を思い浮かべますか? ふろふき大根や鍋物、白菜のお漬け物。カキもRのつく月(※)ですので、美味しいでしょう。 外で食事の時にも、生カキや牡蠣フライ、鍋料理など。寒いけれど暖かい物が美味しい季節、皆で鍋をつついたり思い出すだけで、楽しい気分になりますね。 季節の区切り毎に、一足早い季節の先取り、そんな積み重ねが四季の廻りに身体も心も付いて行かれる小さな秘訣かもしれません。 今日から冬に切り替わったと自分の中のスイッチを入れ替えるだけで、風邪も引きにくいのです。
※牡蠣の旬は、英語表記で「R」の付く月が旬と言われています。January(1月)、February(2月)、March(3月)、April(4月)、September(9月)、October(10月)、November(11月)、December(12月)が該当します。